福岡市薬剤師会

会員管理システム

市民のみなさま

第1回Pharmalink Study

第1回Pharmalink Study
(博多区・東区薬剤師会研修会)

日時: 2025年8月5日(火) 19:30 ~ 21:00

【特別講演】
【臨床研究を始めるには~研究計画・倫理審査と統計解析~】
講師: 九州大学大学院薬学研究院臨床育薬学分野 講師
薬学博士 小林 大介 先生

臨床研究を開始するまでのプロセス

1.研究テーマを考える

2.必要な資料を作成する

3.倫理審査委員会で承認を得る

4.研究開始

 

リサーチ・クエスチョンの構造化

介入研究(PICO)

観察研究(PECO)

Patient(対象):適格基準、除外基準
Intervention(介入)/Exposure(要因):クリニカル・クエスチョンとして最も興味を持った事象
Comparison(比較):研究対象のグループ間で特定の要因や介入の効果を比較すること
Outcomo(効果):効果はできるだけ一つに絞ることが大切である。

良い研究テーマが満たすべきFINERの基準

エンドポイント
研究の目的を達成するために設定された、最終的な評価項目

エンドポイントには、「真のエンドポイント」と「代用エンドポイント」の2種類がある

真のエンドポイントは、本来評価したい最終的な指標。
ただし、これらの項目は臨床試験中の短期間で計測することが難しいため、実際のエンドポイントとなることは少ない。

エンドポイントの分類
比率・時間・数値・変化

代用エンドポイントは、試験期間に計測できる項目。
例えば、血糖値、血圧、コレステロール値、腫瘍の大きさなどで、実際のエンドポイントとなることが多い。

バイアスの種類
・選択バイアス
・情報バイアス
・交絡バイアス

バイアスを減らすためには
研究計画を立案するときに、できるだけバイアスを減らしておくことが重要である。
ランダム化と盲検化は、有効な方法である。

ランダム化(無作為化)
ランダム化の意義は、予見による試験の参加者選択の偏りを防ぐこと、
変数の分布群間で統計的に同じにすること、
確率化により統計的な推論ができるようになること。

盲検化の種類
・非盲検またはオープンラベル
・単盲検
・二重盲検
・三重盲検

介入研究
・対象者に対して事前に説明し同意を得るインフォームドコンセントが必要
・研究者自身が積極的に介入できるため。研究者が観察する研究より信頼性が高いデータを得ることができる。

優越性試験
新しい薬剤が、既存の薬剤やプラセボと比較して、より優れていることを示すことを目的とした臨床試験のデザイン

非劣性試験
新しい薬剤が、既存の標準治療と比較して、効果が劣っていないことを示す試験

クロスオーバー試験(Crossover trial)とは、
被験者を複数のグループに分け、各グループに異なる治療を順番に投与し、治療の順番をグループ間で入れ替える試験
これにより、同一被験者で複数の治療を比較できるため、個人差の影響を少なくし、少ない被験者数で試験を行うことができる。
デメリット:長期にわたる有害事象の評価が困難。休薬期間が必要。

インフォームド・コンセント
研究の実施又は継続に関する研究対象者等の同意であって、当該研究の目的及び意義並びに方法、
研究対象者に生じる負担、予想される結果等について研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者から十分な説明を受け、
それらを理解した上で自由意志に基づいてなされるものをいう。

日本薬剤師会 倫理審査対象研究フローチャート

福岡県薬剤師会 学術倫理審査会

申請に必要な書類

まとめ
・臨床的な疑問(クリニカル・クエスチョン)からリサーチ・クエスチョンへの変換には、PICO/PECOとFINERが有用である。
・研究計画を立案する際には、対象や評価方法、統計解析を適切に設定する必要がある。
・研究開始前に倫理指針なとの関連法規を確認し、倫理審査委員会の承認を得ることが必要である。

福岡市薬剤師会、医薬品についてのお問い合わせはこちらCONTACT

お問い合わせ