第103回 東区薬剤師会研修会

慢性の痛みとは
●プロローグ
口腔顔面痛外来の患者さんたち
・原因不明の歯や口の痛み
・舌、くちびるÄb0がしびれる
・何かわからないけど変な感じ
口腔顔面痛とは、
治療するけど治らない、原因がわからない歯の痛み
歯科領域の痛みであるが明確な原因を認めない
→学術的に3ヶ月、臨床的は6ヶ月以上続く痛み
●痛みとは?慢性疼痛とは?
「神経障害性疼痛」は「侵害受容性疼痛」以外全てを包含するため幅が広い
(特に末梢神経の伝達変調と中枢神経の可塑性(中枢性感作)を一括りには難あり)
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2021年 邦訳「痛覚変調性疼痛」
侵害受容の変化によって生じる痛みであり,末梢の侵害受容器の活性化をひきおこす組
織損傷またはそのおそれがある明白な証拠,あるいは,痛みをひきおこす体性感覚系の
疾患や傷害の証拠,がないにもかかわらず生じる痛み (注記:患者が,侵害受容性疼痛と
痛覚変調性疼痛を同時に示すこともありうる).
痛みのメカニズム分類(Kosek 2017)
歯、神経、脳 のどこかでバグが起こって痛みが発生する。
患者様の訴える「苦痛」と言うのは、
感情的なものか?情動的なものか?判断する必要がある。
慢性疼痛治療における目的と最終目標は?
痛みをゼロにすることはできない。
痛みにとらわれないQOL、ADLの向上と
身体的、精神的な幸福(Well-Being)を目指す。
=病(痛み)はあっても病人ではなくす
非歯原性歯痛の治療
薬物療法
・抗てんかん薬(三叉神経痛に対するカルバマゼピン)
・鎮痛剤(筋筋膜痛症に対するNSAIDs、アセトアミノフェン)
・神経障害性疼痛治療薬(プレガバリン、ミロガバリン、TCA、デュロキセチン)
・トリプタン製剤(神経血管性頭痛に対するトリプタン製剤)
副作用に注意
・長期投与になるため、合併症に注意が必要。
・眠気においては、低容量から開始をしていく工夫を行なっている。
非歯原性歯痛の治療
・認知行動療法
→衝動に気づき、アンバランスな行動に介入し修正する
・運動療法
→運動は脳に直接作用し鎮痛を発揮する
慢性疼痛の患者さん
●難治性慢性疼痛に寄与する心理社会的因子
治らない痛みの捉え方、考え方
治療技術の問題? 生物医学的モデル
疑似性慢性疼痛
診断と治療の問題
歯原性歯痛vs 非歯原性歯痛
慢性口腔顔面痛
慢性難治性口腔顔面痛
治療的介入の問題 痛みの言葉に置き換えた 人生の辛さ 生物-心理社会学的モデル
難治性慢性疼痛に寄与する心理社会的因子
痛いと言ってるのは「歯」ではなく「ひと」 慢性疼痛の「ひと」の傾向、特徴も知っていて損はなし
愛着障害に由来する対人交流不全
難治性慢性疼痛患者には他者との良好な関係構築ができないことが多い
その由来には幼少期にまで遡る被養育歴(両親、親族、同胞葛藤)につながる
条件付きの愛情を受けてきた場合、他者との親密な関係構築を避ける傾向
→行動の調整に介入することで顎などの痛みが緩和することがある。
●難治性慢性疼痛口腔顔面患者さんへの対処
否定的な表現ではなく肯定的な表現を選択する。
自己肯定感を上げてあげる。
