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「健康食品に関する研修会」を開催しました⭐︎

7月4日(金)「健康食品に関する研修会」(3回シリーズ)をハイブリッド開催し、約200名が受講しました。

第1回目である今回は「健康食品とは?健康食品と医薬品の違いなどについて」と題し、日本健康栄養食品協会 青山常務理事に、健康食品の定義と歴史的背景、保健機能食品の分類と特徴、品質管理と安全性確保についてなどを講義していただきました。

◇健康食品の定義と歴史的背景

「健康食品」という言葉に、法的な定義は存在しません。法律上は、口に入れるものの全ては食品衛生法が適用される「食品」であり、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で定義される「医薬品」や「医薬部外品」とは区別されます。

◇保健機能食品の分類と特徴

保健機能食品は、国が定める規格基準等に適合した食品で、表示によって健康の維持増進に役立つことをアピールできる食品です。これらは大きく分けて以下の3種類があります。

  • 特定保健用食品(トクホ)

国の審査を受け、消費者庁が許可する食品です。

製品によるヒトでの最終製品試験を実施し、安全性と有効性を確認する必要があります◦申請件数は減少傾向にあります。

  • 栄養機能食品

国が定める栄養成分(ビタミン、ミネラル、n-3系脂肪酸)の機能を表示できる食品です。

国への届出は不要で、自己認証によって表示が可能です。

  • 機能性表示食品

2015年に導入された比較的新しい制度です。

事業者の責任において安全性と機能性の科学的根拠を評価し、販売開始60日前までに国に届け出ることで表示が可能になります。

有効性の評価は、ヒトでの臨床試験または研究レビューのどちらかで行うことができます。

◇品質管理と安全性確保

健康食品の品質確保には、原材料の安全性の確保と製造工程の適切な管理、濃縮・加工しているため、通常の食品とは異なり、不純物の混入や過剰摂取のリスクが高まります。過去には、錠剤・カプセル剤の形状が医薬品と誤解され薬機法違反となる時代もありましたが、現在は健康食品の形状として認められており、一層の品質管理が求められています

 

紅麹問題から学ぶこと

2024年3月に発生した紅麹関連製品による健康被害は、健康食品に対する社会の注目を大きく高めました。この問題の本質は、機能性表示食品制度そのものの欠陥ではなく、製造工程における品質管理の不備(発酵過程で生じた意図しない不純物による食中毒)にあったとされています。

この問題を受けて、以下の対応が講じられました。

◇健康被害情報の報告義務化: 事業者は、健康被害が疑われる情報を把握した場合、速やかに国に報告することが義務付けられました。

◇機能性表示食品制度の見直し: 制度全体の見直しが行われ、GMPの義務化などが進められています。

 

健康食品は、その効果を過信せず、安全性と科学的根拠に基づいた適切な利用が不可欠です。薬剤師は、これらの製品と医薬品の境界線を理解し、一人ひとりの健康状態や生活習慣を考慮した上で、健康食品の選択・利用に関する指導を行うことが強く求められています。しっかりアセスメントを取りながら、地域住民の健康に寄与していきたいと思っています。

 

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